弁護士×不動産鑑定士の希少な視点。相続は「不動産案件実績4000件超」の専門家におまかせ
愛知県名古屋市で「リアルバリュー法律事務所」を経営する梅村正和弁護士にインタビューを行いました。梅村弁護士は、政府系金融機関での勤務経験や不動産鑑定士としてのキャリアを経て、4000件以上の不動産案件に関わった経験をお持ちです。事務所の理念や相続の対応方針、事務所の強みなどを聞きました。(愛知県弁護士会所属)
インタビュー
不動産と法律のプロフェッショナルとして
弁護士になるまでの経歴を教えてください。
私はもともと国民金融公庫(現日本政策金融公庫)という政府系金融機関で、7年間勤務していました。その後、不動産鑑定士に転身し、大手の不動産鑑定事務所で次長まで務めました。弁護士経験は20年ほど、不動産鑑定に関しては30年以上の実務経験があります。
弁護士を目指したきっかけは、実務で法律に関わるなかで、「弁護士資格があればもっと幅広い相談にのれるのに…」と思うシーンが多々あったことが大きいです。弁護士以外の士業ではできることに制限があります。総合的なアドバイスができるのは弁護士だけなのですよね。
そういった経緯で弁護士を目指し、今に至ります。以来ずっと、生まれ育った名古屋で活動しています。
事務所の理念や大切にしていることは何ですか?
事務所の理念は、依頼者の期待に寄り添う業務をすることです。話をよく聞き、的確な判断をして、一つひとつの依頼に取り組むことを心がけています。
また、当事務所では代表弁護士である私が全ての業務を担当しているため、スケジュール管理には特に気を付けています。思えば金融機関でサラリーマンをしていたこともあり、仕事の進め方は自然と身についていたのかもしれません。
スムーズな解決のため、効率化も意識しています。豊富な経験から、手続きや流れを熟知していることが強みです。例えば相続では、法務局や裁判所、市役所などで調査が必要なシーンがありますが、私は1回の外出で複数の依頼分をまとめて閲覧するなどして、効率的に進めています。
相続問題は不動産問題
先生のところに寄せられる相続の相談の特徴はありますか?
不動産が関わる相続の相談であれば、生前対策から相続開始後の問題まで幅広く対応しています。
エリアは名古屋を中心に、愛知、岐阜、三重と、東海三県が中心です。愛知県内でも三河の山奥だと何時間もかかることもありますが、不動産は評価の問題があるので、評価が必要な依頼は必ず現地で確認しています。
不動産評価には、土地の形や周辺の状況など、さまざまな要素が関わってきます。書類や写真、図面だけでは判断できないことがたくさんあるため、実際に見ないと勘違いしてしまうこともあるのです。どれだけ遠くても、必要であれば現地調査は欠かせません。
なぜ不動産があると相続問題が複雑化しやすいのでしょうか?
「相続問題は、詰まるところ不動産問題」と言われることがありますが、本当にそのとおりだと思います。預金や株だけなら、単純に割り算で分けられます。例えば、相続人が3人なら3等分すれば良いのです。しかし不動産がある場合は、そういう訳にはいきません。
場合によっては3分の1ずつの共有もあり得ますが、それは本当に仕方なくそうなっている可能性が高いでしょう。共有での相続は最終手段であり、「きちんと分割できなかった」ということを意味します。
共有で相続した場合、将来的に土地を売買するなどして活用しようと思ったときに、共有者全員の同意が必要です。最初は3人で相続したものだったとしても、相続人の1人が亡くなれば、さらにその相続人が相続することになるので、相続人はどんどん増えていきます。共有者が増えれば増えるほど、土地を活用するのが難しくなるのですよね。
そのため一般的には、親と一緒に住んでいた人など誰か1人が代表で相続し、他の相続人に対してはお金で清算するケースがほとんどです。しかし、ここで「渡すべきお金をいくらにするか」を決めるのが難しいのです。不動産の評価額がわからないと、渡すべきお金の金額が決まりません。だからこそ、スムーズな不動産評価が問題解決の鍵だといえます。
相続の対応方針や心がけていることはありますか?
まず、話し合いで解決できそうなら評価をして、「これくらいの金額で清算するのが妥当です」と提案します。兄弟仲が良い場合はそれに従って終わり、と簡単なコンサルティングで済む場合もあります。しかし、揉めている場合は当事者の誰かから依頼を受けて、裁判所の手続きによって解決をはかることになるでしょう。
裁判になったときは、依頼者の希望を最大限取り入れます。なぜなら最終的な決断をするのは依頼者であり、裁判所に提出する書面にしても、依頼者が承諾したものしか採用できないからです。そのため納得感を大切にしています。
ただし、書面には勝てる要素をたくさん書いた方が良いので、依頼者が損をするような表現があるようなときは、内容を修正するようなアドバイスもします。主張内容によっては「裁判所に採用されない可能性が高いですがどうしますか」という話もしますね。何度も書面の内容を確認してもらい、依頼者が納得したものを裁判所に提出しています。
希少な専門性が生む圧倒的な強み
相続における事務所の強みを教えてください。
弁護士であり不動産鑑定士であり、さらには公認不動産コンサルティングマスターでもある、希少な存在であることです。相続、不動産、金融の知識と経験が豊富です。
不動産鑑定の実務経験が30年以上あり、弁護士としても20年ほどの実務経験を重ねてきたので、量・質ともに自信があります。政府系金融機関における不動産担保査定件数、不動産鑑定士として行った鑑定評価と不動産調査件数、弁護士として受任した不動産案件数を合わせると、関わった不動産案件の実績は4000件を超えます。正確に数えると5000件も超えているんじゃないでしょうか。
また、住宅地、商業地、工業地、店舗、戸建て住宅、農地・山林、マンションなど、多岐にわたる不動産を取り扱ってきました。土地建物の鑑定評価だけでも1000件以上の経験があります。弁護士の中でも、これだけ不動産に関わった経験がある人は日本では数えるほどしかいないでしょう。
そもそも、不動産鑑定士の資格を持っている弁護士自体、かなり希少な存在といえます。また司法試験に受かっていると試験科目が一部免除されるので、資格が取りやすいという事情もあり、資格は取っていても鑑定業務の経験はない弁護士が大半です。私のように両方の業務を同等にこなしている弁護士は、日本でも2〜3人くらいではないでしょうか。
不動産鑑定士の資格を持っているだけではなく、実務経験もあることによるメリットは何ですか?
不動産鑑定評価が正確で早いことが最大のメリットです。不動産鑑定士に鑑定を依頼すると鑑定料が別途かかってしまいますが、私のところはワンストップで対応できるので、時間や料金を節約できます。普通なら1か月以上かかるところを、より早く対応できることは大きなメリットです。
方針や見通しも立てやすいです。「このくらいの不動産評価になる可能性が高いので、相手方にはこのくらいの金額の請求から進めてみますか?」という具体的な提案がスムーズにできます。しかもその評価に至った根拠も示せるので、依頼者にも方針を納得いただきやすいです。
不動産に関する特殊な法律にも詳しいので、正しい知識で的確な判断ができることも強みです。例えば、農地法や区画整理法など、特殊な法律も熟知しています。不動産鑑定士の試験科目には不動産に関する法律が40個以上あり、このあたりは、弁護士よりも不動産鑑定士の方が詳しいかもしれません。
早めの相談が解決への近道
相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
とにかく早めに相談してください。相手方から何かを言われたときに、すぐに回答したり、書類にハンコを押したりするのは危険です。アクションを起こす前に相談に来てください。
返答の仕方によっては、相手の言い分を認めたことになってしまう場合もあります。裁判になったとき、裁判官によっては「このときにこのような返事をした=相手方の主張内容を認めた」と判断されてしまい、不利になってしまうことがあるのです。
最終的には相手から訴えられて判決が出る時期に依頼に来るケースもありますが、そうなってしまうと、いよいよ手の施しようがないこともあります。だからこそ、少しでも不安に思ったら、すぐに専門家に相談することをおすすめします。